渋沢栄一氏をご存知ですか?
渋沢氏は2024年に新10,000万円札の顔となり、2021年には大河ドラマの主人公になる、
『日本資本主義の父』
『実業界の父』
と呼ばれ、ノーベル平和賞の候補にもなった方です。
なぜ今、こんなにも渋沢栄一氏が現代日本で注目されているのか。
その理由は、
「現代の日本社会が持つ悩みを解決するヒントを、渋沢氏がくれるから」
だと感じています。
そして”現代日本社会が持つ悩み”とは子育て・教育についても大いに含まれます。
人生100年時代といわれる現代。
”グローバル化、多様化という国際社会の中で、我が子が100年苦労なく生き抜いていくためにはどんな教育をすれば良いのか。”
とお悩みの方が今、増えています。
・早期教育
・英語教育
をすれば良いという風潮が日本社会にはありますが、「それだけではダメだ」と渋沢氏は言います。
では、人生100年時代を生き抜く力を持つ子を育てるにはどうすれば良いのか。
そんな現代の子育て・教育についての悩みを解決してくれるヒントを、渋沢栄一氏の生き方・考え方からみていきましょう。
目次
渋沢氏から子育てヒントを得る前に、
「渋沢栄一ってどんな人?」
を簡単にお伝えしたいと思います。
私もお恥ずかしながらあまり知らなかったのですが、実は渋沢氏は多くの人が知っている有名企業設立に携わったすごい人。
渋沢栄一が生涯で関わった企業の数は約500社にのぼり、同時に約600の社会公共事業にも尽力しています。
私でも知っている有名どころだと、
・第一国立銀行(現みずほ銀行)
・日本鉄道(現JR)
・帝国ホテル
・日本郵船
・東京ガス
・東洋紡
・王子製紙
・サッポロビール
・東京海上日動火災保険
・日本赤十字社
・東京証券取引所
・・・などなど、「日本にあるほとんどの会社に渋沢栄一が関わってる!」といっても過言ではないくらい、多くの企業設立に携わっています。
だから渋沢氏は『日本資本主義の父』『実業界の父』などと呼ばれているのです。
もし、我が子が渋沢氏のように、100年後の世界にも語り継がれる人になったら・・・
こんな嬉しい事はないですよね。
更にここで簡単に、渋沢氏の生涯をご紹介します。
渋沢栄一氏は、幕末時代(江戸時代末期)に農民(豪農)として生まれます。
最初は幕府を倒そう!という倒幕派でしたが、ひょんなことから徳川慶喜に仕える幕臣となり、パリ万博に視察へ。
そこで初めて見た「株式会社」というシステムに魅了されます。
「株式会社こそ、身分に関係なく平等に利益をもらえ、社会全体が豊かになるシステムだ!
日本に足りないのはコレだ!」
と思うようになります。
※その頃の日本の商売は”商売をしている家のみ”が豊かになるばかりであった。
パリから帰ってきたら幕府は倒されていて、明治政府では大蔵省の官僚になりましたが、本当にやりたいのは官僚ではなく、日本に株式会社をつくり、利益を多くの人にもたらすことであったため、官僚をあっさり辞めて実業界へ。
そこで前述したように多くに企業設立に携わります。
そして渋沢氏のすごいところは、
『利益はその家だけで独占するものではなく、社会全体の利益であるべきだ』
と徹底して社会の利益を考えて実行したこと。
”渋沢財閥”と財閥化することを良しとしませんでした。
そのため、あれだけの事業に関わりながら、渋沢は財閥ではありません。
そんな、自分の利益ではなく、社会の利益のために生きたところが、現代にも語り継がれる所以だと私は考えています。
さてそんな渋沢氏がなぜ、現代の子育ての迷いや悩みを解決してくれるヒントを与えてくれると私が感じるのか。
それは、
「現代は明治時代とよく似ている」
と感じるからです。
明治時代はこれまで幕府がとっていた鎖国制度がなくなり、一気に外国文化が入ってきた時代。
海外製品はもちろん、食文化、言語も一気に多様化しました。
現代でいう、グローバル化、国際化社会になってきたのですね。
そのため、それに適応するためには英語が必要!と英語教育熱が高まってきたり、早くから知識を習得することが大事!と教育熱が高まってきたり、海外に精通していることが、一種のステータスになったり・・・
どうでしょう。
今の日本でも同じような風潮が溢れていると思いませんか?
それに対し、渋沢氏はこんなことを言っています。
「わが国民の考え方には、すぐにでもやめるべき悪習がある。
それは外国製品の偏重という悪習だ。(中略)外国製品を偏重するあまり、国産品をダメだと感じる理由もまたないはずである。
ところが舶来品といえばすべて優秀なものばかりという思い込みが、国民すべてに深く浸透しているのは、本当に嘆かざるを得ない。
(中略)
いつまで欧米心酔の夢を見ているのだろう。
いつまで自国軽蔑という見識のなさを続けるつもりなのだろう。
実に意気地のない話である。
(出典:現代語訳 論語と算盤)」
渋沢氏は外国製品についてを言っていますが、私はここは現代の英語教育に通じるものがあると感じています。
実際に
・0歳から英語を!
・英語を話せることがステータス!
・1歳からインターナショナルスクールや留学に!
等と、母国語形成を疎かにしてしまう風潮が増してきていると感じています。
また、それによる弊害が親子に出ているのも事実です。
英語教育に関しては、明治時代に英語論争が繰り広げられていた事実がありますので、こちらの記事&書籍をぜひご覧ください。
※書籍:「英語化は愚民化」
・「今の教育は、知恵や知識を身につけることばかりに走っていまい、精神力を鍛える機会が乏しくなっている。だから、それを補うために自分磨きが必要なのだ。」
・「今の教育は知識を身につけることを重視した結果、(中略)精神を磨く事をおざなりにして、心の学問に力を尽くさないから、品性の面で青年たちに問題が出るようになってしまった。」
・「今の青年はただ学問のために学問をしている。
初めからこれだという目的がなく、なんとなく学問をした結果、実際に社会に出てから、「自分は何のために学問してきたのだろう」というような疑問に襲われる青年が少なくない。
・「学問をすれば誰でもみな偉い人物になれる」という一種の迷信のために、(中略)後悔するようなことになるのだ。」
・「世間一般における教育のやり方を見てみると、(中略)単に知識を授けるということだけに、重点を置きすぎていると思う。
言葉を換えれば、道徳を育む方向性が欠けている。
確かに欠乏しているのだ。」
※いずれも、出典:現代語訳 論語と算盤
いかがでしょうか。
私はこれを読んで、現代も同じだ!と感じてしまいました。
IQ150に!という早期教育塾が人気だったり、幼稚園で漢字や算数をできるようにしたりと、知識を詰め込む教育に重きが置かれているように感じます。
が、これではダメだと渋沢氏は言うのです。
では、どんな教育が必要だというのか。
それは、『心の教育』『道徳』です。
まったく外国文化がなかったところから、一気に外国文化が入ってきた明治時代。
そのまったく違う環境を生き抜き、100年後にも残る大企業を設立した渋沢栄一氏。
そんな渋沢氏が育てるべきだと繰り返し言っているもの。
それが、『心』です。
渋沢氏は『論語』を人生のバイブルにして読んでいたそうですが、論語を何も6歳までの子に読ませる必要はありません。
簡単に言い換えれば、『道徳』をしっかりと『習慣』として身に付けるようにすることが大事なのです。
渋沢氏はお金を儲けることも出世することも悪い事ではないといいます。
ただ、そこで自分だけ儲ければよい、自分だけ得をすれば良い、という自分中心の考え方だけでは、誰からも尊敬されないといいます。
儲ける知識だけでは、自分も豊か・幸せになることはできない。
知識は心があってはじめて、活かされるものなのです。
英語だけ完璧でも、多様性を受け入れる心がなければ、世界で活躍することができないのと同じですね。
英語も、人を理解し思いやる心、何を伝えたいか、何をしたいのか、があってはじめて活きていくものです。
”これさえやればIQ150になる!”
と言われると、そうかも・・・と”知識こそ全て”と思ってしまうこともありますが、そんな時はぜひ思い出してほしいのです。
大木は大きく成長した後に根を張ったのではなく、まずはじめに、見えない地中にしっかりと根を張ったから、大きく立派に成長したということを。
つまり、『心をしっかり育てることが、全ての土台』となるのです。
そして心を育てることは幼少期が一番大事。
渋沢氏は言います。
「習慣も少年時代がもっとも大切で、一度習慣となったら、それは身に染みついたものとして終世変わることがない。
それどころか、幼少の頃からがもっとも習慣が身につきやすい。
だからこそこの時期を逃さずよい習慣を身につけ、それを個性にまで高めたいものである。
(出典:現代語訳 論語と算盤)」
と。
大人になってから心を育てなおすのはできないわけではありませんが、難しいのは事実。
知識は本人のやる気次第でいつからでも身につけられますが、心はそうはいきません。
だからこそ、幼少期にしっかりと心を育てることが大切なのです。
渋沢氏は心をしっかり育てていたからこそ、現代にまで語り継がれ、尊敬される人物になったのです。
渋沢氏が生きた明治時代と似たような時代を生きている我々も、これからの人生100年時代には、心がしっかり育っているか否かで活躍できるかどうかが分かれてくるといっても過言ではありません。
そして子どもの心を育て、良い習慣を身につけるには、育てる側である親・大人がいかに心が育っているか、学ぼうとしているか、が大事。
渋沢氏も、
「善良な女性からは善良な子どもが生まれ、優れた婦人の教育によって優秀な人材ができるものである。
(出典:現代語訳 論語と算盤)」
と言っています。
ここだけは明治時代と現代の違うところ。
まだ「女性の教育なんて必要ない!」が常識だった時代に、女性の教育・社会進出こそが必要であり、男性と女性は平等であるべきだと説いた渋沢氏ですから、今であればさながら、
「善良な親からは善良な子どもが生まれ、優れた親・大人の教育によって優秀な人材ができるものである。」
というところでしょうか。
母親だけではなく、父親もしっかりと子育てや子どもの教育に携わることの重要性を説くでしょう。
子どもに”理想”を押し付けるだけでは、子どもは育ちません。
子どもは親の鏡、子どもは親の背中を見て育つ。
だからこそ、育てる側である親・大人がしっかりと自らも心を更に育てたり、学ぼうという意欲をもって、自身を成長させていくことも、人生100年時代の子育てには必要なのです。
いかがでしたか?
渋沢栄一氏の生きた時代と似たような時代を生きている私たち。
未知数な時代にどんな生き方をすればよいのか、子どもが世界で活躍できる、つまり、人生100年時代を自らの力で稼ぎ、生き抜いていくためにはどんな子育てや教育をすれば良いのか分からない。
そんな迷いや悩みは、変化の時代を生き抜き、後世に社会のための事業と名を残した渋沢氏の生き方・考え方を知ることで少し軽くなるのではないでしょうか。
渋沢氏は著作の中で何度も言います。
「知識を詰め込むばかりではなく、心を育てるべきである。」
と。
「道徳」はテスト科目でも受験に必要な科目でもないため、軽視している人も多いかもしれません。
しかし、現代と同じような変化の時代を生き抜いた渋沢栄一氏が道徳をしっかり学べというのですから、幼少期に道徳、心の教育をしっかり行うことが、これからの時代を生き抜くためには必須な力であることは、もはや疑いようがありません。
『心をしっかり育てることこそ、全ての土台』
ぜひこのことを忘れずに、日々お子様と向き合っていってくださいね。
※渋沢栄一氏に関する書籍はマンガ版も出ています。
ぜひ読みやすいものから読んでみてくださいね!
子ども&貴方の可能性は無限大!
Category 世界の文化 . 専門家コラム . 真のグローバル人の育て方 . 絵本・書籍紹介 2019.12.24