幼稚園や小学校などの運動会で見られる花形種目『組体操』。
みんなが一致団結している姿は感動的ですよね。
そんな組体操が、全面禁止になるかもしれないのです!
目次
そもそも組体操の歴史はどんなものなのでしょうか?
初歩的な組体操は、なんと紀元前2000年の古代エジプト文明の壁画に描かれているのです!
中国でも、漢の時代の土偶にそれが見られていることから、古い歴史があることが分かります。
ヨーロッパでは、中世以後のイタリアで、祭日などに披露されてきました。
また、19世紀にはドイツで近代的な組体操が盛んに行われた記録があるそうです。
国民主義の高まりをみせた19世紀半ばごろからは、ドイツで国民の健康と軍事教練を兼ねて合同で行なう体操運動が盛んになり、第一次世界大戦を前に欧米諸国にも広まっていきました。
組体操は日本でも明治初期から導入されており、日本の体操教育の基礎となったそうで、現在では日本以外だと香港、マレーシア、ブラジルで盛んに行われているようです。
組体操は古代エジプトから始まるほど歴史があるなんて知らなかったので驚きです!
今回禁止を決めたのは大阪市教育委員会。
9日に行われた会議で、市立小中高校の運動会や体育祭で実施している組体操の「ピラミッド」と「タワー」を来年度から禁止することを決定したのだそうです。
実は、大阪市教育委員会は昨年9月には、組体操の”段数”を制限しました。
しかし、その後も骨折事故が相次いだため、今回の禁止を決定。
ピラミッドやタワーの禁止は千葉県松戸市なども検討しているということです。
更に、膝の上に立ち上がる「サボテン」や「肩車」などでも、骨折事故が多いことを問題視する声が上がっているのだとか。
こうした技にも規制が必要かどうか検討することになり、将来、組体操が行われなくなる可能性も・・・
組体操では近年、その”高さ”を競う傾向にあり、専門家からも懸念が出ていたようです。
禁止を決めた市の教育委員、大森不二雄委員長は、
「一体感を味わう子どもや感動する保護者もいるだろうが、そうでない人は声を上げられない。
どちらが多数か分からないが、事故が多い現状を踏まえれば、多数決で決める話ではない」
と語ったそうです。
確かに、組体操には危険が伴うことはよく分かります。
「団結力を育むなどの教育効果がある。」
「組体操を見るとその学校が分かる」
という意見もあります。
組体操の危険性についての指摘には、教師の力量の低下、学校教育への信頼の低下という課題が背景にあるのではないかという意見や、
組体操をもって、引き上げることのできる子どもがいる(例:運動が苦手な子、体重の軽い子などは一番上に立つという見せ場(?)があるなど)という意見もあります。
確かに、”年長さんになったらあんなにかっこいいことが出来る!”という憧れの言葉が現場でも聞かれていました。
小学校でもこのような子どもたちの声は聞こえているようです。
組体操は高さを競うものではなく、
『子ども自身が挑戦に値すると思う課題をクリアしていくプロセスを安全に経験させた上で、やり切った達成感を胸に刻み込むことが組体操の目的である』
と語る人がいます。私もこの意見には共感します。
もちろん、100人いれば、100人全員が組体操に主体的に挑んでいるか、肯定的かというとそうではないと思います。
また、教師や学校への信頼が薄れていることも関係しているのかもしれませんが、私は組体操が将来、”危険なもの”と認識され、全面的に禁止になってしまうのは寂しいです。
みなさんは、どう思うでしょうか?
Category 専門家コラム 2016.02.24