「乳幼児期からグローバル教育をさせたい!」
という想いをお持ちの方は年々増えています。
これからの世の中の流れを見ても、乳幼児期からグローバル教育をしたい!と思うのは当然の流れですし、私も大賛成。
しかし・・・
グローバル教育とは英語教育、つまり”英語を身に付けさせることだ”と考えていませんか?
教育改革や英語の授業が増えていく学校カリキュラムを見れば、「グローバル教育=英語」と思い込んでしまうのも無理はありません。
けれど実は、グローバル教育=英語教育ではないのです。
特に乳幼児期、つまり6歳までのグローバル教育とは、『英語を身に付けさせることではなく、多様性を体験させてあげること』なのです。
目次
グローバル教育=英語教育ではない理由は、「どんな大人になってほしいか」を考えれば分かります。
英語を流暢に話せるようになってほしい!
というのも、もちろんなってほしい姿だと思います。
しかし、肝心なのは『英語を使って何をするか?』であったり、『どんな魅力的な人間になるか?』という部分なのです。
英語が話せさえすれば活躍できる、可能性が広がる、幸せになれると安易に結び付けてしまうのは要注意。
例えば、英語を流暢に話すことが目標になってしまったら、目標を達成はしても、
”それを使ってやりたいことが何もない、やりたいことが分からない。”
ということに成りかねません。
※日本の大学問題と同じ。(大学に入学することがゴールになってしまい、その先何をすれば良いのか分からなくなる。)
例えば、英語は流暢に話せるけれど、
”それしかない。相手の気持ちが分からない、コミュニケーションが上手く取れない。”
では多様なバックグラウンドを持つ方と一緒に仕事をしたり、活躍したりすることは難しくなります。
乳幼児期からグローバル教育をさせたいと想うのには本来、お子様が
・幸せな人生を歩めるように
・可能性を広げられるように
・活躍できるように
などという、”幸せな未来のために”という想いがあるかと思います。
「英語教育」というワードは世の中に溢れているため、ついつい、
・英語を話せれば幸せに・・・
・子どもの可能性が広がる・・・
・英語を話せればグローバル人材、英語教育こそグローバル教育・・・
と惑わされ、グローバル教育迷子になってしまいがちですが、前述したように、英語が話せれば”ALL OK”なわけではありません。
英語を話せるよりもまず、
『この人と一緒にいたいな!一緒にいると気持ちいいな!一緒に仕事がしたいな!』
と思われる人間力を身に付けることが重要なのです。
「人間力」というと、抽象的でよく分からないと思うかもしれませんが、そんなに難しいことではありません。
・挨拶をする
・ごめんなさい、ありがとうを素直にいえる
・身だしなみを整える
・マナーや礼儀を守る
・相手を理解する
・相手を思いやる
など、乳幼児期に教えることがそのまま人間力に成っていくのです。
保育園や幼稚園などは人間力を鍛える絶好の場なのですが、英語教育を重要視しすぎてしまうと、それを鍛える機会を奪うことになってしまいます。
※実際にインターナショナルスクールで
「うちの子には英語だけを教えてください。英語だけ身に付けば良いです。」
という保護者がいましたが、その子たちは軒並みコミュニケーションや精神面の成長に不安が残ったまま、卒園していきました。
相手を理解し思いやるなどの人間力があってこそ、多言語が話せることが活きてきます。
すなわち、乳幼児期のグローバル教育とは英語教育ではなく、相手を理解し思いやる=多様性を認められる人間力を身に付けさせることなのです。
「グローバル教育=英語教育ではないなら、何をすればいいの?
人間力が大事なのは分かった。でも、英語以外のグローバル教育ってなんなの?」
ごもっともな質問です。
グローバル教育=英語教育だと思い込みがちなのは、
”それしかグローバル、国際的な活躍に繋がる術はない”
と思ってしまっているから。
また、グローバル教育というと”海外へ行かなきゃいけない”と思っている方もいますが、実はちょっと工夫すれば、いつでもどこでもグローバル教育はできるのです。
先ほども述べたように、乳幼児期、つまり6歳までのグローバル教育とは相手を認められる=多様性を認められる土台をつくること。
もっと簡単に言えば、
「みんな違うのが当然だよね!みんなそれぞれ違う考えや習慣があるって当たり前のことだよね!」
と自然に思えるようになる、ということです。
そうなるためにはまず、『自分とは違う世界がある』ということを知ることが必要です。
そのために海外へ行くということは非常に重要ですが、365日違う国へ行くのは難しい。
そこでオススメなのが、”○○フェスや△△ショップ、□□レストラン”に行くことです。
例えば、
・代々木公園などで開催される台湾フェスやタイフェスへ行く。
・その国の調味料や香辛料が手に入る、専門店へ行く。
・その国のメニューを提供しているレストランへ行く。
などです。
「ただ行って楽しかったね、美味しかったね」というのもありですが、グローバル教育にするにはもう少し踏み込んだアプローチをするとgood.
実例をご紹介します。
私は先日、スウェーデン料理を提供するカフェでスウェーデン料理を楽しんできました。
店内もいたるところにスウェーデンの小物がディスプレイされており、とても可愛かったのですが、その中に”ヴァイキング”の置物がありました。
ヴァイキングといえば、800年から1050年くらいまでいた武装船団、いわゆる海賊のこと。
「これなあに?」と聞かれれば、これ1つでヴァイキングの歴史、スウェーデンの歴史を調べるよいきっかけになります。
また、注文した料理は『空飛ぶヤコブさん』という、鶏肉、カシューナッツ、バナナ、スパイスなどを煮込んだもの。
バナナの甘さの中にピリッとスパイスの効いた、日本ではなかなか味わえない味で、好き嫌いは分かれるところかな?と思いましたが、こんな味もあるんだ!と自分の中の多様性が増えたことを実感。
フィーカセットというデザートも頼んでみたところ、美味しいけれどとても甘い!
料理もデザートも甘さが印象に残るものが多く、「なんで甘いの?」と聞かれれば、
「寒い地域だからカロリーを取らないといけないのかな?」と自分なりの仮説を立てることができます。
帰宅後、立てた仮説を基に、スウェーデンとはそもそもどこにある国か、どんな人たちが住んでいるのか、どんな言葉を話しているのか、そもそも本当に寒いのか、服装は、日本からどのくらい離れているのか、スウェーデン料理の成り立ちは・・・
など、子どもと一緒に調べればそれだけで、
・自分が住んでいる国とは違う国がある
・国が違えば食べ物も違うんだ
などと多様性に気付くことができる、立派なグローバル教育に!
もちろん、びっしりと調べなくても、スウェーデンってどこにあるんだろうね~と国の位置を確認するだけでもOK.
たった2時間のランチで多様性を体験することができてしまうのです。
このように、子どもが五感で多様性を体験することこそ、6歳までに必要な本当のグローバル教育です。(もちろん、6歳以降も)
言語はその後。
上記の実例で言うと、
「スウェーデン料理を食べて、スウェーデンに興味を持つ→行ってみたい!と思う→そのためにスウェーデン語を勉強する」
という流れが言語を習得するのにも一番速いプロセスです。
英語だって同じです。
できるだけ早くから可能性を伸ばしてあげたい!という想いは分かりますが、興味のないものをやらされても何も身に付かないどころか、嫌いになってしまう可能性も大いにあります。
乳幼児期には多様性を体験させて、世界を知ることは楽しいこと、色んな人がいることを当たり前に受け入れられるような土台をつくることが、お子様の今後に活きる一番のグローバル教育なのです。
グローバル教育の素材は日常生活にたくさん隠れています。
ぜひ上手く使って、ご家族でグローバル教育を楽しんでみてくださいね!
子ども&あなたの可能性は無限大!
Category ”真の”才能を発掘する方法 . 世界の文化 . 専門家コラム . 真のグローバル人の育て方 . 食育 2019.06.20