カリフォルニアの園で約10年間、担任として23か国の子どもたちを見てきてNさんとのインタビューもこれで最終回。
最終回の今日は、海外幼児教育経験者の目線から、日本で今後行われる、『無資格者の保育勤務』について意見を伺います。
※過去3回の記事はこちら↓
「海外の幼児教育を知る vol.1~カリフォルニアの現場から~」
「海外の幼児教育を知る vol.2~カリフォルニアの現場から~」
「海外の幼児教育を知る vol.3~カリフォルニアの現場から~」
目次
せかいく(以下:せ):日本では今後、保育士資格のない方(小学校教諭や子育て経験者など)が保育現場で働けるようになるのですが、これについてはどのように思われますか?
Nさん:正直複雑なところですね。
私も向こうの大学でしっかり幼児教育を学び、資格を取りましたので、資格のない方も働けるとなると、「なんだよ!」と思うところはあります。
ある脳科学者の方がこんなことを言っていました。
『大学よりも幼稚園・保育園の先生に1番給料をあげるべきだ。
なぜなら、人生で1番大事な時期だからだ』
と。子どもと”遊ぶ”のは簡単なことではないのだということを分かってもらいたいですね。
せ:その通りですね!
教育評論家の尾木ママも、先日『保育は子守ではない』と発言していました。
私もその通りだと思っています。
Nさん:その通りですね。
しかし一方で、保育者の負担を減らすための活用(言い方は悪いですが)をしたらいいのではないかとも思います。
せ:と、いうと?
Nさん:日本の保育現場では、先生たちの負担が多すぎだと感じます。
幼稚園にしても保育園にしても、毎月のように行事があり、工作の準備をし、掃除、洗濯、成長記録の記入やお便りを作成したり。
向こうの園に比べてはるかに気を遣っているのにも関わらず、保護者に苦情を言われたりする。
これでは保育者の方が辞めたくなるのも当然だと思います。
それなら、無資格者の方が掃除や洗濯、工作の準備(切ったり貼ったり)など、子どもと接すること以外で簡単に出来ることを担ったらいいのではないでしょうか?
そうすれば、資格のある方の負担を少し軽減することが出来ます。
資格があるから良い、資格がないから悪いというわけではないと思います。
指導を受けて、きちんと成長していける人であれば、現場にいてもいいのではないかと思います。
ただし、もちろん正規の方との給料に差をつけることは大前提です。
それから、無資格者を働けるようにする前に、なによりもまず、潜在保育士をいかにして戻すか対策を練るべきだと思いますが・・・
せ:なるほど~。確かに、負担を軽減するということを考えるとそのような方がいてくれたら現場としては助かりますね。
せ:向こうでは、保育も階級があって、それによって出来ること、出来ないことがあるのですよね?
Nさん:はい、そうです。向こうでは取る単位によって階級が違ってきます。
一番下から、
・アシスタント
・アソシエイト
・マスターティーチャー(日本でいう担任)
・アシスタントディレクター(副園長)
・ディレクター(園長)
となっています。
アシスタントとアソシエイトはバイトになります。
その上からはフルタイムで働くことになります。
アシスタントなどは沢山いて、アシスタントだけでは子どもを見る・保育することは出来ません。
日本でいう”担任”になれるのは、マスターティチャーという資格がある人からです。
せ:結構細かく分かれているのですね。
給料にも差があったりするのでしょうか?
Nさん:はい。もちろん、資格によって差があります。
これを考えると、やる気のある無資格者の方が現場に出ても良いとは思いますが、給料には結構な差をつけるべきだと思います。
せ:なるほど。確かに、これ以上保育士離れが進まないためにも、差をつけることは重要な要素になるかもしれませんね。
せ:Nさん、今日は詳しくお話しいただきましてありがとうございました!
Nさん:とんでもない、こちらこそありがとうございました。
せ:海外の幼児教育事情を垣間見ることができ、とても勉強になりました。
またぜひ、お話を聞かせてください。本当にありがとうございました!
全4回に渡ったNさんとのインタビュー。
カリフォルニアの幼児教育事情を知ることができ、有意義な時間を過ごすことができました。
まだまだ話したりないところもありますが、今度は実際に向こうへいって、幼児教育の現場を体験してきたいものです。
Nさん、本当にありがとうございました!
カリフォルニアの保育園にて約10年間、担任として3つの園に勤務する。
約23か国の子どもたちに囲まれながら保育に携わる。
10年間の中で日本人の子どもを受け持った人数はわずか2人。(そのうち1人ハーフ。)