”吹き替えよりも、字幕で見たい!”
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
けれどこの字幕、実は日本だけが積極的に行っているってご存知でしたか?
今日は字幕の世界をご紹介します。
目次
映画全編を字幕で上映している国は、実は日本だけなのです。
海外では、他国の映画は”吹き替え”で見るのが当たり前。
わざわざ翻訳して字をあてる手間とコストをかけてしまう字幕映画はそもそも作成していないのが現状です。
ではなぜ、日本は字幕映画があるのか?
それは・・・「俳優さんの生の(?)声を聴きたい」という思いが日本人にはあるからなのだそうです。
確かに、字幕に慣れている私たちとしては、吹き替えの声と口の動きが違うなどの些細な変化にもよく気づきますよね。
その不自然さよりは、字幕で映画を見る方が自然になっているのかもしれません。
(しかし、今は日本でも吹き替えの方が多くなっているそうですよ。)
そんな日本独特の文化といっても良い『字幕』。
字幕とセリフを比べてみると、「そんな風に言ってないじゃん!」と思うことありませんか?
しかし、なぜそのようなことになるのか、秘密があったのです。
その秘密とは・・・
外国語のセリフをそのまま直訳すると、実は長すぎて読めなくなってしまうのです。
次々と場面が変わる映画の登場人物、1人ひとりのセリフを訳すと、”文字で画面がいっぱいになってしまう”という事態にもなりかねないのだとか。
また、そんな情報量を数秒で追うのは実に難しいことでもあります。
”直訳することは映画には適さない”となると、「数秒の場面で、いかにわかりやすく話のストーリーを伝えるか・理解してもらえるか」が重要になってきます。
そのため、同じようなニュアンスの言葉を見つけて(あるいは作って)画面に当てはめていくことが大切なのです。
映画を見るとき、人はずっと字幕ばかり追いかけているわけではありませんよね。
俳優さんの表情や背景、ストーリーの展開など、様々なことを観ながら映画を見ています。
その中で、人間が”見やすい”と感じる文字数は『1秒に4文字』です。
その中で誰にでもわかるような表現をするとなると、とても難しいと感じませんか?
”翻訳家さんは、外国語が堪能でいいなぁ”
と思いますが、実は、『外国語だけ出来ても意味がない』のです。
それは、これまで書いてきたように、
「1秒4文字という制限のある中で、誰にでもわかる言葉でストーリーを伝えなくてはならない」から。
それはつまり、「『母国語の語彙力・表現力』がどれだけあるか」ということが問われるのです。
これは、翻訳家の戸田奈津子さんもおっしゃっていました。
翻訳家のみならず、これから世界に羽ばたいていく日本人になるためには、”母国語の語彙力を高める”ということもとても重要だと私は思っています。
耳のよいうちに外国語に触れるということも良いですが、母国語に影響が出るようなものは少々心配。
結果、母国語も外国語も中途半端になりかねません。
母国語の語彙力は親との会話ももちろんですが、友達を通してぐんと伸びます。
ぜひとも母国語を確立する乳幼児期には、たくさんの母国語の言葉を使える環境を用意してあげてくださいね!
Category 専門家コラム . 真のグローバル人の育て方 2015.11.06