というとても興味をそそる題名の本を読みました。
最近特に北欧の教育に興味を持っている私としては、気になるところ。
その内容はというと・・・
1.幼稚園・保育園
2.小学校準備教育
3.校長と生徒代表の意見交換
4.小学校
5.中学校
6.高校
7.小・中・高いじめ問題
8.大学
9.教員採用
10.アントレプレナー&イノベーション教育
11.人生を変える支援教育
12.人材採用側の視点
13.スウェーデン教育の骨格
の13章から成り立っており、スウェーデンの教育がどのようになされているのか、スウェーデン社会がどのように成り立っているのかを、書いています。
これを読むまでは、北欧の幼児教育はすばらしい!と信じて疑いませんでしたが、(もちろん、読み終わった後もすばらしいと感じてはいますが)子どもを徹底して騒がせない、「おーい」という普通に呼びかける程度の声にも警報サインが出るなどのことは知らなかったので、驚いてしまいました。
子どもが大声で笑い合うということがなく、室内遊戯室には音に反応する警報器が取り付けられ、中には耳栓をつけて保育をする保育士もいる(これでは緊急事態に備えられないのでは・・・)という、小さいうちに喜怒哀楽を押さえつける傾向があるというスウェーデン社会には驚きです。
目次
という筆者の遠山さん。この方は実際にスウェーデンに在住し、この本を書いています。
北欧の冬はとかく日照時間が短いもの。こちらが思っている以上に、日照時間が短いのは人間にとって応えるようです。
「冬になると、日中も眠り続けたり(もしくは続けたい)、何も気力がなくなったり、気分がずっと晴れなかったりと病んだ心の状態になることが多い。世界の自殺率の上位にはリトアニア、ロシア、ベラルーシ、エストニア、ラトビアなどの北欧近隣諸国が占めている。
スウェーデンなど北欧先進国はさほど高くはないが、社会制度が崩れれば、自殺者や海外移住者は増大するだろう。
教育・生活・福祉水準や国際競争力がスウェーデンだけではなく、フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドなどの北欧先進国がおしなべて高いのはこの冬が無関係ではないはずだ。」
との意見には、納得しました。
確かに、人間にとって日の光は大切なものですから、それが少ないとすぐに不安に陥りやすくなることも事実です。
だからこそ、日照時間の短い国では、努力をして住みやすい国にすることが必要なのですね。
教員養成で有名な大学の副学長で、初等教育専門家でもあるリスベス・ルンダル教授(2008年当時)も、「スウェーデン教育が他のヨーロッパと比較して優れている点は就学前教育だ」と述べています。
その中で、
・自分で決めた遊び=好きなことをやっている
・子どもだけの輪の中で過ごすことで人間関係能力を高める
という点においてはとても共感し、すばらしいと感じました。
私は、特に幼児期にはIQよりもEQやSQを高めることが大切だと考えています。
※EQ・・・自信、好奇心、計画性、自制心、仲間意識、意思疎通能力、協調性の6つの能力
※SQ・・・社会性能力
そのためには、いちいち大人が介入するのではなく、子ども同士で人間関係を学んでくことが重要です。
人を楽しませること、自分の気持ちの伝え方、苦手な人ととの付き合い方、わがまま対処法、言葉の選び方、タイミング、空気の読み方、もめ事をうまく収める手腕・・・などの、誰にでもある人間関係能力は、幼児期に身に付けておかないと、成長してからでは「性格」という言葉で片付けられてしまうこともあります。
この能力を適切な時期にしっかり伸ばす幼児教育があるからこそ、資源の少ないスウェーデンが豊かに暮らしていける社会が出来上がっているのだなと感じました。
またまた上手くまとまらなくなってしまいましたが、幼児教育から就職までの教育の流れを見ていくことで、教育全体について学ぶことができ、より幼児期にするべきことがわかったような気がしました。
また、スウェーデンでは小・中学校などの「いじめ」にどのように対応しているのか、デモクラシーなどについても知ることができ、勉強になりました。
2008年の本なので、今とは少し違う部分もあるかもしれませんが、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね!