皆さんは『むずむず脚症候群』という言葉を聞いたことはありますか?
これは高齢になるにつれて患者数が増えていくといいますが、子どもでも発症するケースがあります。
特に、10歳くらいの低年齢に多いと言われ、幼児にもみられることがあります。
私自身も、お泊り保育を実施している時に子どもが足をかゆがったり、しきりに気にしたりという姿をみたことがあります。
保護者の方にお話を聞くと、むずむず脚症候群だったということもありました。
実はこの症候群、大人と子どもでは若干症状が異なるのです。
子どもの場合、どのような症状が見られるのか?詳しく見ていきましょう。
むずむず脚症候群にかかっている大人の場合、体内の鉄分量が極端に減っていることが少なくありません。鉄分は脳内のドーパミンをスムーズに伝達するために必要な物質で、ドーパミンがうまく機能しなくなるとむずむず脚症候群につながることが、これまでの調査研究で明らかにされています。
しかし、子どもの場合は体内の鉄分量に以上は見られない場合が多いのです。
それにも関わらずむずむず脚症候群になるのは、体全体でみれば鉄分が足りていても、何らかの原因で鉄分が脳までスムーズに移動できていないため、脳内の鉄分量は少なくなっているから、と推測されています。
なぜこのようなことが起きるのかは残念ながらまだわかっていません。しかし、遺伝的な要因が原因ではないかと言われています。
実際に、子どもがむずむず脚症候群にかかっている場合、その両親にもむずむず脚症候群の症状がみられるケースが非常に多く、ある調査によると、両親のうちどちらか一方が発症している割合は、7~8割にのぼるという結果が出ています。
また怖いのは、この症状がなかなかうまく言葉に表せないため、他の病気と間違われてしまうことがあることです。表現としては・・・
このような表現がよく使われますが、子どもの場合うまく言葉にできずに単に「脚がかゆい」という表現になってしまうことがあります。そのため皮膚に異常があると勘違いして皮膚科に行き、見当違いの薬を処方されてしまうことがありうるのです。
また、脚のかゆみのためじっとしていられず、落ち着きがなくなるため、ADHDと誤認されてしまうこともあるのです。
こういった病気と区別するのは、専門家でも容易ではありません。
むずむず脚症候群にみられる代表的な特徴は下記のようなものですので、子どもからしっかり症状をヒアリングして、親がその内容をしっかり把握しておきましょう。
あれ?と思ったら、睡眠を専門としている医療機関を受診しましょう。むずむず脚症候群は睡眠障害の1つと考えられています。
眠たいのに眠れないのはつらいもの。少しでもおかしいと思ったら、様子をよく観察して、むずむず脚症候群も視野に入れてみてくださいね。
Category 専門家コラム 2015.05.09