おはようございます。
「お子様がこれからの世界で活躍するために何が必要か分からない。」
そんな”教育迷子”の方に、英語の先を見据えた世界教育を提供する教育コンサルタント、Masamiです。
前回は幼少期をホンジュラスで過ごし、中学生の時に日本に帰国したケンさんへのインタビューをもとに、
・日本の英語教育
・これからの子どもたちに必要なこと
などをご紹介しました。
では、海外の幼児教育現場はどうなっているのか。
Nさんはアメリカ、カリフォルニアで約10年間、現地の保育園担任(向こうではマスターティーチャーと呼ぶ)として勤務経験がある日本人女性。
今回はNさんのインタビューをもとに、前編・後編の2回に渡って海外の乳幼児教育事情にせまります。
アメリカ、カリフォルニアでの経験にはなりますが、
・お子様の教育環境を考えて海外へ行くことを考えている
・仕事の都合で海外へ行く可能性がある
時にはぜひ参考にしていただければと思います。
目次
せかいく(以下せ):初めまして!本日はよろしくお願い致します。
Nさん:よろしくお願い致します。
せ:早速ですが、カリフォルニアではどのような園にいたのでしょうか?
Nさん:約10年の間に、担任として3つの園で勤務していました。
そのうちの1つは大学付属(幼児教育を学ぶ専門の大学付属)の園でした。
せ:そうなのですね。幼稚園ですか?保育園ですか?
Nさん:向こうは日本のように、幼稚園・保育園と分かれていないんです。
ほとんどがチャイルドケアと呼ばれる保育園に分類されます。
日本の幼稚園というと、3~5歳児の子どもが通うところですが、向こうでの幼稚園=kindergardenとは、年長さんにあたる5歳児の1年間だけ行くところです。
そのため、「幼稚園=小学校」という認識もあります。
この1年は、幼稚園に小学校がちょっとくっついた感じですね。
もちろん、行かない子もいます。
そのため、0~4歳児までの子どもたちは全員、「保育園」に通うことになります。
せ:そうなのですね!「幼稚園」という区分がないのは日本とは大分違いますね。
保育時間は日本と違いはありますか?
Nさん:日本よりも早く始まり、早く終わるのが特徴だと思います。
ほとんどの保育園は、朝6:45~から始まり、夕方の18:30~45には終わります。
せ:朝の6:45~!それは早いですね!
Nさん:向こうの仕事スタイルが関係していると思います。向こうは日本のように”夜遅くまで残業する”という文化ではありません。
就業時間がきたら仕事を終えて、その後の時間は家族と過ごします。
その分、朝早くから始業するという会社が多いようです。
せ:なるほど~。家族の時間を大切にするという点は、日本ももっと見習うべきところですね。
せ:日本では早い保育園でも7:00~だと思うのですが、6:45~の保育というと、子どもたちの生活スタイルはどのような形なのでしょうか?
また、”クラス”というものはありましたか?
Nさん:クラスは年齢によって違っています。ただ、特徴的なのは、日本のように1年の始まりに一気にクラスが上がるわけではないということ。
例えば、日本では4月に全員学年が上がりますよね。
向こうの始まりは9月ですので、そこで上のクラスにいく子もいますが、全員が上がるわけではありません。
「この子はまだこのクラスにいた方がいいな」と思えば、クラスが上がらないこともあります。それで保護者の方がなにか言ってくることもありません。
せ:なるほど。個人の発達・成長に合わせているわけですね。クラスの区分はどのようになっているのですか?
Nさん:勤めたうちの1つの例ですが、3か月~1歳が2クラス、1歳が2クラス、2歳が2クラス、3・4歳はMixで2クラスでした。
しかし、Mixのクラスも年齢によりグループ分けがされていました。
保育士(向こうでは担任のことをマスターティチャーと呼ぶ。)の配置は1歳児までが1対4、2~4歳児までが1対12と、日本よりもゆったりした配置になっていると思います。
せ:保育士の配置がゆったりしている(=たくさん保育士がいる)と、子どもたちのリズムに合わせた保育がしやすいですよね。
Nさん:その通りだと思います。
また、どの園でも「遊び」を大変重視していたので、適切な遊びの提供、援助などが出来ました。
せ:乳幼児期の遊びがとても重要だということは世界共通なのですね!
給食などの提供はあるのでしょうか?
Nさん:はい、ありました。
ただ、0歳児はおやつも食事もすべて家から持ってきてもらっていました。
1歳児になると、食事は家から持参で2回のおやつは園から、2歳児からは食事もおやつも園から提供していました。
ただし、おいしくはなかったですね。(笑)
せ:そうなのですね(笑)。「遊びを重視していた」とのことですが、子どもたちは、どのように1日を過ごしているのでしょうか?
Nさん:簡単に流れを説明しますと・・・
6:45~ 異年齢保育。全年齢の子どもたちが一緒に遊んで過ごす。
8:00~ それぞれ各部屋へ。
8:15~9:00 自由遊び
9:00~ おやつ、トイレ
9:30~ Circle time (朝の会のようなもの。)歌やダンス、絵本の読み聞かせなどを行う。
10:00~11:00 外遊び
11:00~ Tableアクティビティ
そのあと、昼食、昼寝、自由遊びというような流れです。
せ:なるほど。このTableアクティビティとはなんですか?
Nさん:粘土やパズルなど、テーブルに座って、手先を使うような遊びのことです。
年齢によってこの遊びは変化させていきます。
特に年齢の低い子(2歳児など)は、”興味がなくなったな”と感じたら、すぐに次の遊びへ促します。
どのように1日の流れをスケジュールするかがとても大切なんです。
せ:スケジューリングが大切なのはなぜですか?
Nさん:年齢の小さい子ほど、つまらないとすぐにケンカをするからです。
”いかに子どもの興味を引くか・飽きさせないようにするか?”
がとても重要です。先生のテクニックと工夫が必要なのです。
飽きさせないように絵本も毎週変えていましたし、手作りおもちゃの制作などもしていました。
せ:分かります!私もいろいろやりました。(笑)
せ:他に、これってなかなかないよな~などという特徴的な遊びなどはありますか?
Nさん:”ブロックアクティビティ”は特徴的かなと思います。
せ:ブロックアクティビティ?
Nさん:はい。クラスの真ん中に何百個というブロックを用意しておくのです。
そこは特別な場所で、他の遊びとは違い、子どもたちが自由に遊べるのではなく、保育士の方でコントロールしていました。
ブロックアクティビティの良いところは、子どもたちの想像力や創造力などを養うことが出来ることです。
何百個というブロック(レゴなど)を使って、イメージしたものを具現化する。それを見てまたイメージを膨らませて創造し、巨大な街やターミナルが出来る様子は圧巻です。
また、1人では難しい部分も、友だちと協力するとよりすごいものが出来上がるので、協力する・助けあうことなども自然に学ぶことが出来ます。
せ:それはすごいですね!日本ではなかなか見られない光景だと思います。ぜひやってみたいです!
せ:外遊びはどうでしょうか?すべての園には園庭がついているのでしょうか?
Nさん:ほとんどの園には自分の庭がついています。ニューヨークなどの大都市では、都内のように”マンションの中にある”という園もあるかもしれませんが、庭のない園はほとんどないと思います。
また、日本では子どもたちが歩いて公園に行ったりしますよね?それはこちらではやりませんね。
せ:そうなのですか。それはなぜですか?
Nさん:”怖い”と感じるからです。
アメリカは車社会です。”歩いて公園まで行く”なんてとてもとても・・・行ってもNature walkという、近所へのお散歩くらいです。
怖くて子どもを連れて外に出ることは、あまりありませんね。
せ:そうなのですね!”防犯”という意味もあるのでしょうか?
Nさん:もちろんそれもありますが、先に述べたように、ほとんどの園には庭がついていますので、外へ出る怖さもありますが、”歩いて公園へ行く”という発想がないのでしょうね。
日本の幼児教育業界においても、「遊ぶ」ことの重要性は再認識されているところですが、やはり子どもが「遊ぶ」ということは世界共通で重要視されているということが分かりました。
子ども達の生活スタイルから、カリフォルニアの”働き方”についても垣間見ることが出来ました。
後編では行事について、保護者の意識の違い、などに迫ります。
カリフォルニアの保育園にて約10年間、担任として3つの園に勤務する。
約23か国の子どもたちに囲まれながら保育に携わる。
10年間の中で日本人の子どもを受け持った人数はわずか2人。(そのうち1人ハーフ。)
「仕事の自動化が進む時代は、ソーシャルスキルで生き残る(Harvard Business Review)」
でも、ソーシャルスキル・マナーの重要性が説かれています。
ただ今お子様(3-8歳)+親御様がごっこ遊
「子どもは親の背中を見て育つ」
からこそ、まずは貴方がワンランク上のスキルを身に付けませんか?
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