おはようございます。
「お子様がこれからの世界で活躍するために何が必要か分からない。」
そんな”教育迷子”の方に、英語の先を見据えた世界教育を提供する教育コンサルタント、Masamiです。
せかいくでは常々、
・これからの子どもたちに必要なことはなにか。
・グローバルな人に育つということはどういうことなのだろうか。
・世界で活躍するために幼少期にこそ育てるべきことはなにか。
などということを研究しています。
その一環として以前、
「2歳の時にホンジュラス(中米)に渡り、中学生の時に日本に戻ってきた」
という”ケンさん(男性)”にインタビューをさせていただきました。
今回は幼少期を海外で育ち、思春期を日本で過ごしたケンさんが、日本と海外の違いや戸惑いについて、実体験をもとに話してくれたことをご紹介します。
・海外で育つということ
・日本のこと
・外国語習得のこと
などに関して素直な想いを述べてくださいましたので、ぜひ今後のお子様の教育の参考にしていただければと思います。
目次
せかいく(以後せ):初めまして!今日はよろしくお願いします。
ケンさん(以後K):初めまして!よろしくお願い致します。
せ:ケンさんは2歳まで日本で過ごされていたのですよね?海外へはどのようなきっかけで?
Kさん:父親の仕事の都合です。現地ではインターナショナルスクールに通っていました。
せ:そうなのですか。失礼ですが、ホンジュラスという国についてあまり知らないので教えてください。主要言語は英語ですか?
Kさん:スペイン語です。英語は学校の共通語として使っていました。
せ:すごい!では3か国語話せるのですね。スペイン語はどちらで?
Kさん:母がスペイン語を話すんです。「私と話すときはスペイン語で話して」と言われていたので、そこから学んだのもあります。
せ:そうでしたか。中学生で日本に帰ってきた時、日本語は話せたのですか?
Kさん:いえ、ほとんど話せませんでした(笑)。
サッカーが好きなので、中学校に転入してすぐ、サッカー部に入ったのですが、みんなが言っていることがわからなくて・・・
悔しかったので独学で勉強しました。
せ:独学!?すごいですね!中学生まで日本語が話せなかったとは思えないぐらい、自然な日本語です。日本語はどのように?
Kさん:本当に基礎から勉強しました。小さい子向けの、トラの絵がついている・・・なんて名前かは忘れてしまいましたが(笑)。
せ:しまじろう?こどもチャレンジのようなものですかね?独学で勉強しようとする姿勢、見習います!
せ:日本に帰ってきて、1番戸惑ったことは何ですか?あれば教えて下さい。
Kさん:う~ん・・・「上下関係」と「連帯責任」ですかね。
部活に入っていたので、上下関係はそこで学びました。
新人は先輩よりも早く来て掃除をしたり、誰かが勉強のために数分遅れただけで、
「連帯責任で1年生は全員掃除しろ!」
などと言われて練習に参加させてもらえないこともあり、”なぜなんだろう?”と戸惑いました。
ホンジュラスでは正当な理由(勉強などでいけない、遅れた)があれば咎められることは少ないので、驚きました。
あとは「敬語」!
海外では「敬語」という概念がないので先輩にもフランクに接していました。(俗にいうタメ口。)
日本にきて最初の頃は、敬語も上下関係もわからなかったので、先輩にもフランクに接していて、友だちからやめろと言われました。
せ:なるほど・・・確かに日本は「上下関係」や「敬語」という目上の人に対する接し方のルールがありますね。
それについてはどう思いますか?ダメなことだと思いますか?
Kさん:いいえ。ダメなことだとは思いません。それが日本の美点の1つだとも思うし。
けれど、自分のアイデンティティをなくすまで遠慮したり、周りに合わせたりするのはどうかな?と感じます。
せ:と、いうと?
Kさん:自分もスポーツをしているので、チームの一体感を深めたり、チームの絆を深めたりするのは大事なことだと思います。
けれど、日本人は遠慮しすぎると思うんです。
「個」をなくしてまで、「チーム」を尊重するべきかと問われると・・・疑問に思います。
個人のポテンシャルを尊重したり、重視することも大切なのではないでしょうか?
せ:う~ん、確かに・・・日本人は「個」よりも、「周りに合わせること」に重きをおいているところがありますね。
また、自分からのアピールも苦手。
”頑張っていれば、誰かが気づいてくれるだろう”
という期待もありますが、特に中高生だと、アピールをすることで変に目立ってしまって、仲間はずれにされることを恐れている部分もありますね。
Kさん:そこがよくわかりません。日本では年下の人が自分よりも実力があると、嫉妬したり、年下だからと試合に出させなかったりすることもありますよね。
年齢などは関係なく、チームとして一番良い結果をもたらす方向にもっていくべきではないでしょうか?
そのためには、「じゃあ、俺が頑張るよ!」と周りのことを考えて、自分の存在をアピールしても良いと思うんです。
もし、それで何かをされても、僕はいいと思っています。
自分の人生だから悔いは残したくないと思っているし、そんな狭いコミュニティの中でしか生きられないわけじゃない。
世界は広いんです。
個人的には、これからの子どもたちに必要なことって、ここの部分じゃないかな?と思うんです。上手く言えないけど(笑)
せ:その通りですね!とても共感します。
日本の子どもたち(時に大人もそうですが)は、今いる場所にしか居場所がない(例:学校)と思っている人がたくさんいるのだろうと感じます。
けれど、そんなことはない。もっと自分の世界は広がっているのだということに気付くべきだと思います。
また、なんでも周りに合わせてしまうのではなく、自分の意見をしっかり持ち、それを伝えるという勇気もしっかりともってほしいと思っています。
そのためにも、私は幼少期から世界を知ることはとても重要だと考えているのですが、ケンさんはどう思われますか?
Kさん:僕もその通りだと思います。
自分の経験からも、世界を知る・体験するには早い方が良いと思っています。
逆に10歳前後だと、考え方や価値観をある程度持っているので、自分と違う世界に戸惑ってしまってなかなか受け入れられないと思うんです。
せ:確かに、小学校の高学年くらいで海外に行った子はなかなか現地に馴染めないという話を聞いたことがあります。
考え方が柔軟な幼少期に広い世界を知ることは、グローバルに育つ(グローバルな考え方を持つ)ための第1歩なのですね。
せ:昨今、日本では日本人向けのインターナショナルスクールが増えてきていますが、その中で外国語習得にあたって必要なことはなんだと思いますか?
Kさん:周りの環境が日本語なのに、学校の中では英語という、”学校の中だけ”というのは難しいと思います。
なぜなら、僕自身もそうでしたが、「外国語が楽しい!」と思うのは、大概”学校の外で”だからです。
「”外”で初めて通じた!」
という時の喜びが、楽しいに繋がり、外国語習得への意欲を持たせるのだと思っています。
本当にグローバルに育てたいと思うなら、学校の外で異文化に触れさせる機会を作ったり、外国語に触れる機会を親が積極的に作るべきではないでしょうか?
せ:なるほど。
”子どもをインターに通わせている”というだけで、満足する親も少なからずいることは事実ですので、学校の外でも機会を作るのは、外国語習得に重要なことなのですね。
では、もしケンさんが日本人を対象にしたインターを作るとしたら、どのようにしますか?
親御さんは外国語をあまり話せないけど、子どもには話せるようになってほしいというような思いを持つ方を対象としたような・・・
Kさん:え!?難しい質問ですね・・・(笑)
せ:すみません(笑)
Kさん:う~ん、僕ならまず、親の習慣を変えますね。
せ:親の習慣?
Kさん:はい。
例えば、親と定期的に面談をして、「今月は外国語を学ぶためにどんなことをしましたか?」などと目標を持ってもらって、それに向けて何をしたか話してもらいます。
外国人の友達と話す環境を作ったとか、なんでもいいのですが、子どもだけではなく、親も努力することが必要ですから。
あとは、インター同士の交流を図るなど、とにかく学校以外で外国語を使う場を作ります。
せ:なるほど。インターに子どもを通わせているからと言って満足するのではなく、親自身も外国語を使う環境づくりに努めるべきなのですね。
せ:答えにくい質問にもお答えいただきありがとうございました!
最後にもう1つだけ、よろしいですか?
日本の保育では、子どもが何かいけないことをした時には、対応として、1対1で
「どうして○○したの?」
「今どんな気持ち?」
「何がいけなかったと思う?」
などと質問をして子どもに気づきを促す場面が多いのですが、ネイティブの先生を見ていると、
「Time out!」
と言って椅子などに座らせているだけという光景が見られることがあります。(もちろん、先生によっても違いはありますが。)
これだと、子どもたちは何がいけなかったのかわからないのでは・・・と感じるのですが、どう思われますか?
Kさん:う~ん、個人的にはそのように丁寧に対応するのは日本人が繊細だからではないかと思うのです。
むしろ、そのような対応だと自分で考え、答えを導き出していないので甘えてしまうのではないか?とも感じます。
叱って罰を与える(ここでいうTime out)ことで、先生が何も言わなくても、「何がいけなかったのか」「なぜ叱られたのか」「どうすればよかったのか」など、自分で考えるようになります。
すると、自分で考える力が深まったり、状況を把握する力がつくと思うんです。
もちろん、どちらが良いか悪いかという話ではないですが。
せ:なるほど、そういう考え方もあるのですね。勉強になりました。
今日は様々なお話をいただいて大変勉強になりました。お忙しい中、長時間ありがとうございました!
Kさん:ありがとうございました。
私自身もこのインタビューを通して、外国語習得についての考えなど、”なるほど!”と思わせられる気付きがたくさんありました。
上手く話を引き出せなかった面もありましたが、どの質問にも終始笑顔で丁寧に対応してくださったケンさんには感謝の気持ちでいっぱいです。
実際に幼少期を海外で過ごされた方のお話は実に貴重で、今後の活動にも大いに役立たせていきたいと思います。
貴方もぜひお子様のグローバル教育を考える参考にしていただけましたら幸いです。
ケンさん、本当にありがとうございました!
2歳の時に父親の仕事の都合でホンジュラス(中米)に渡り、中学生の時に日本へ帰国。
現地ではインターナショナルスクールに通い、多言語の中で育つ。
帰国当初は日本語が話せなかったため、独学で勉強。
現在はスペイン語、英語、日本語の3か国語を話す。
「仕事の自動化が進む時代は、ソーシャルスキルで生き残る(Harvard Business Review)」
でも、ソーシャルスキル・マナーの重要性が説かれています。
ただ今お子様(3-8歳)+親御様がごっこ遊
「子どもは親の背中を見て育つ」
からこそ、まずは貴方がワンランク上のスキルを身に付けませんか?
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