最近問題になっている『マタニティーハラスメント』。
職場で妊娠中の女性が差別を受けたり、電車や公共の場でも被害を被ったりすることがあり、社会問題になっています。
しかし!最近さらなるハラスメントが出てきました。
それが『パタニティーハラスメント』。
いったい、どのようなものなのでしょう?
目次
パタニティーとは、父性、父親の意味です。
つまり、パタニティーハラスメント=パタハラとは、『育児参加をする男性への嫌がらせ』のことを意味します。
現在では、”父親が育児に参加したい”と思っている方が増え、東京都の調査でも、育児休業を「取得したいと思う」と回答した男性は52.5%と半数を超えました。
しかし、実際に取得している方はごくごく少数。
その背景にあるのが『パタハラ』なのです。
少しずつ変化してきているとはいえ、日本ではまだまだ「男性が外で働いて、女性は家庭を守る」という意識が根強く残っています。
多くの家庭では男性が育休を取得すると家計が厳しくなるというところがありますが、その対策として、政府は14年に育児休業給付金を67%に引き上げ、休業開始から6カ月間は、休業前の手取り賃金の約8割が支給されるようになりました。
しかし、実際の育休取得率にはまだこれらの効果は見られていません。
それは、男性が長期の育休を取ること、保育園などのお迎えで早退することに対して快く思わない風習があるからではないでしょうか?
「マタハラ」でも同じですが、”育休後にこれまでと同様のポジションに付けるかわからない、キャリアアップが出来なくなる、戦力外通告を受けるのでは”と不安に思う男性が多くいるようです。
・「育児は仕事をしない理由にならない」
・「会社が育児に配慮する必要はない」
と言われるなどの上司や同僚の理解不足があげられます。
パタハラの厄介なところは、当事者はハラスメントをしているという自覚がないところです。
年齢が上であるほど、また、言い方はおかしいかもしれませんが、日本古来の厳格な家庭に育った人ほど、「男は仕事、女は家庭」という社会意識を持っています。
「家事や育児は女性に任せて、男は外で家族のために金を稼ぐべきだ!」
という意識が強いのですね。
そのため、当事者から見れば、”育児を理由に仕事を真剣に行っていない・怠けている”と見えてしまうのです。
「男らしさ」=「仕事で稼いで家族を養うこと」と同一視されることの多い現状では、”育児をすることが男らしくない”と思われてしまうこともあるようです。
当事者には悪気がないからこそ厄介な「パタハラ」。
なんでも”ハラスメント”とつけていいものかとも思いますが、この問題を解決するには、社会全体の意識を変えていかなくてはいけないと思います。
男性の育休取得を当たり前としたフィンランドなども、ここまで来るのには様々なことがあったはず。
今こそこれらの国の事例を積極的に研究し、取り入れるべきではないでしょうか。
日本も変化しようとしています。
父親の力なくしては、育児が難しい時代にもなってきました。
もし、周りで育休や育児に参加したいと思っている男性がいたら、ぜひ協力してあげて欲しいと思います。
Category 専門家コラム 2015.12.01