おはようございます。
「お子様がこれからの世界で活躍するために何が必要か分からない。」
そんな”教育迷子”の方に、英語の先を見据えた世界教育を提供する教育コンサルタント、Masamiです。
今回は前回「海外の現場からグローバル教育を考える。<前編>」に引き続き、海外の幼児教育現場、特に行事や保護者の意識の違いなどについて迫ります。
実際の現場の様子を知ることで、今後のお子様の教育のヒントを見つけてくだされば幸いです。
目次
せかいく(以下せ):向こうでは、どのような行事があったのでしょうか?
Nさん:1番大きなイベントと言えば、『アートショー』でしたね。
せ:アートショー?
Nさん:はい。アートショーとは、1年に1回あるイベントで、「子どもが作った絵や作品を保護者がオークションする」というものです。
せ:オークション!なんだかすごそうですね。
Nさん:すごかったですよ。各クラス、グループ作品と個人作品を作るんです。
グループ作品は1個、個人作品は2~3個作ります。
それを保護者が欲しいものを買うのです。
グループ作品は1個2万円くらい、個人作品は1個2000円くらいで売れます。
クラスの思い出スクラップブックは10万円で売れたこともあるんですよ!
せ:10万ですか!?すごいですね~!子どもの作品に値段が付くのもすごいと思いますが・・・
売れ残ったりはしないのですか?
Nさん:ほとんどしないですね。もし売れ残ってしまったら、保護者が自分の子どもの作品を買うので(笑)
もちろん、買うことは強制ではありませんが、ほとんどの保護者が何かしらの作品を買っていきます。
せ:それはすごい!作品を作るのは大きいクラスの子どもたち(2~4歳)なのですか?
Nさん:いいえ。全クラスが参加しますので、0歳の子どもの作品もオークションに出されます。
ちなみに、良い園は0歳児でもアートやクッキングを行います。
良い園・悪い園を見分けるポイントはアートだと思っています。
せ:そうなのですね!確かに、アートは園の教育理念を表す指針の1つだと私も思います。
それにしても、アートショーは楽しいイベントですね!せかいくでもぜひやってみたいです!
他の行事はどのようなものがありますか?
Nさん:その他はHalloweenやサンクスギビング、面談くらいですね。
クリスマスはみんながみんなクリスチャンなわけではないので、やらないのです。
せ:そうなんですか!向こうの方がクリスマスは盛大に行うと思っていたので意外ですが、確かに宗教的な意味合いが含まれていますものね。
せ:アートショーというイベントは、日本ではなかなかないものですが、買う親御さんから何か言われたことはありませんか?
Nさん:特にないですね。向こうは保護者の意識が日本とは全然違うんです。
おかしな言い方ですが、向こうでは、保護者がどんなに立派な地位・職についていても、『先生』を尊敬しているのです。
それは、保育園の先生に対しても同じです。
『自分の子どもが通っている大事な園・先生・クラスのために何ができるか?』
という意識がみんな強い。
そのために、寄付がすごかったり、保護者の方から「クラスのためになにか出来ませんか?」と聞いて来たり、物やお金だけではなく、時間を割いてお手伝いに来てくれたりします。
日本では、『先生』という立場は年々弱い立場に追いやられてしまっているように感じますが、向こうではそんなことはありません。
自分の子どもを見ていてくれる、『先生が1番』という意識があるので、保護者の態度は日本とは違うと思います。
文句や苦情(?)もほとんど出ません。
せ:なるほど。保護者の意識に差があるのですね。確かに日本では、教育の場で保護者のご機嫌を伺うような場面が多く出てきてしまっているように感じます。
本来であれば、園と家庭、両方の面から平等に子どもをサポートしていくべきなのに、日本ではそれが難しくなっているような・・・
Nさん:私もそれは感じています。
また、変な言い方になってしまいますが、向こうで働いていて感じたことは、高学歴の保護者の方が悠々としているということです。
せかせかしたり、あれこれ言ってくることがないのです。
自分の子どもが楽しんで園に通い、先生を好きであれば、それでOKなんです。
全体的にリラックスして子育てをしているように感じますね。
それに対し、アジア系の人たちはせかせかしている印象です。
実際に少数ですが、現地で日本人のご家族を見たことがあります。
その時にプレゼントが少し曲がっているのを指摘され、驚いたのを覚えています。
せ:そうなのですね!
日本の園では、実に細かいところにまで気を配るので、日本から海外へ行った方は、違いに驚いたのかもしれませんね。
Nさん:そうだと思います。
せ:いろいろとありがとうございます。
最後にもう1つだけよろしいでしょうか?
日本では保育士免許のない方も保育現場で働けるようになってきましたが、それについては、海外で幼児教育に携わってきたNさんはどのように思われますか?
せ:日本では今後、保育士資格のない方(小学校教諭や子育て経験者など)が保育現場で働けるようになるのですが、これについてはどのように思われますか?
Nさん:正直複雑なところですね。
私も向こうの大学でしっかり幼児教育を学び、資格を取りましたので、資格のない方も働けるとなると、「なんだよ!」と思うところは正直あります。
ある脳科学者の方がこんなことを言っていました。
『大学よりも幼稚園・保育園の先生に1番給料をあげるべきだ。
なぜなら、人生で1番大事な時期だからだ』
と。
子どもと”遊ぶ”のは簡単なことではないのだということを分かってもらいたいですね。
せ:その通りですね!
教育評論家の尾木ママこと、尾木直樹氏も、
『保育は子守ではない』
と発言していました。
私もその通りだと思っています。
Nさん:その通りですね。
しかし一方で、保育者の負担を減らすための活用(言い方は悪いですが)をしたらいいのではないかとも思います。
せ:と、いうと?
Nさん:日本の保育現場では、先生たちの負担が多すぎだと感じます。
幼稚園にしても保育園にしても、毎月のように行事があり、工作の準備をし、掃除、洗濯、成長記録の記入やお便りを作成したり。
向こうの園に比べてはるかに気を遣っているのにも関わらず、保護者に苦情を言われたりする。
これでは保育者の方が辞めたくなるのも当然だと思います。
それなら、無資格者の方が掃除や洗濯、工作の準備(切ったり貼ったり)など、子どもと接すること以外で簡単に出来ることを担ったらいいのではないでしょうか?
そうすれば、資格のある方の負担を少し軽減することが出来ます。
資格があるから良い、資格がないから悪いというわけではないと思います。
指導を受けて、きちんと成長していける人であれば、現場にいてもいいのではないかと思います。
ただし、もちろん正規の方との給料に差をつけることは大前提です。
それから、無資格者を働けるようにする前に、なによりもまず、潜在保育士をいかにして戻すか対策を練るべきだと思いますが・・・
せ:なるほど。確かに、負担を軽減するということを考えるとそのような方がいてくれたら現場としては助かりますね。
せ:向こうでは、保育も階級があって、それによって出来ること、出来ないことがあるのですよね?
Nさん:はい、そうです。向こうでは取る単位によって階級が違ってきます。
一番下から、
・アシスタント
・アソシエイト
・マスターティーチャー(日本でいう担任)
・アシスタントディレクター(副園長)
・ディレクター(園長)
となっています。
アシスタントとアソシエイトはバイトになります。
その上からはフルタイムで働くことになります。
アシスタントなどは沢山いて、アシスタントだけでは子どもを見る・保育することは出来ません。
日本でいう”担任”になれるのは、マスターティチャーという資格がある人からです。
せ:結構細かく分かれているのですね。
給料にも差があったりするのでしょうか?
Nさん:はい。もちろん、資格によって差があります。
これを考えると、やる気のある無資格者の方が現場に出ても良いとは思いますが、給料には結構な差をつけるべきだと思います。
せ:なるほど。確かに、これ以上保育士離れが進まないためにも、差をつけることは重要な要素になるかもしれませんね。
Nさん、今日は詳しくお話しいただきましてありがとうございました!
Nさん:とんでもない、こちらこそありがとうございました。
せ:海外の幼児教育事情を垣間見ることができ、とても勉強になりました。
またぜひ、お話を聞かせてください。本当にありがとうございました!
前後編と2回に渡ったNさんとのインタビュー。
カリフォルニアの幼児教育事情を知ることで、何かしらの新しい気付きやお子様のグローバル教育のヒントを得られたのでは・・・と思います。
今後は益々海外の方と接する機会が多くなる時代。
世界ではどんな教育をしているのかを知るだけでも、グローバル=多様性を知ることに繋がります。
日本国内の教育に注目することはもちろん大切ですが、時には海外の教育事情にも目を向けてみる。
それがお子様にとってベストな教育スタイルを見つけることにも繋がります。
ぜひ視野を広げて、お子様にとっても貴方にとってもベストなスタイルを見つけてみてくださいね。
子ども&あなたの可能性は無限大!
カリフォルニアの保育園にて約10年間、担任として3つの園に勤務する。
約23か国の子どもたちに囲まれながら保育に携わる。
10年間の中で日本人の子どもを受け持った人数はわずか2人。(そのうち1人ハーフ。)
「仕事の自動化が進む時代は、ソーシャルスキルで生き残る(Harvard Business Review)」
でも、ソーシャルスキル・マナーの重要性が説かれています。
ただ今お子様(3-8歳)+親御様がごっこ遊
「子どもは親の背中を見て育つ」
からこそ、まずは貴方がワンランク上のスキルを身に付けませんか?
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