みなさんは、「溶連菌」というものはご存知ですか?
乳幼児を持つ親御さんにはなじみのあるものだと思います。
実は最近、その溶連菌が人食いバクテリアとなって猛威を振るい始めているのはご存知ですか?
目次
正式な病名は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」。
実は、乳幼児がかかりやすい溶連菌である、「レンサ球菌」と同じ種類なのです!
普段は人のどや皮膚などに生息し、通常は感染しても咽頭炎などに留まる「溶血性レンサ球菌咽頭炎」となるだけです。
しかし稀に、通常は細菌の居ない組織(血液、筋肉など)へと侵入し、重篤な疾患=劇症化してしまうことがあるのです!
『人食いバクテリア症』とも呼ばれるこの病気が恐ろしいのは、
・「脚などの筋肉が急に腫れ、数時間~数日のうちにどんどん腐っていく病気」
・「発病から数十時間で死に至ることも少なくない」
・「致死率は30%」
という病気の進行の速さです。
では、溶連菌がなぜ劇症化してしまうのかというと・・・
はっきりとした原因はまだわかっていません。しかし、”傷口・創部への直接接触によって感染・劇症化する”ということは分かっています。
また、予防法もないため、自分で気をつけなくてはいけません。
・手洗い、うがいをしっかりと行う
・傷に注意。しっかりと消毒を行い、感染に気をつける。
・免疫力を落とさないようにする(栄養バランス、休息、睡眠など)。
など、普段から健康でいられるように気を付けましょう。
では、感染した時にどのような症状がでるのかというと・・・
・手足の強い痛み
・発熱や悪寒
・筋肉痛
などの風邪のような症状、また、手足の腫脹、創部の発赤などがあり、めまいや錯乱状態を伴うこともあります。
もし、感染の疑いがあれば、時間との勝負になりますので、早めに医療機関を受診しましょう。
なぜなら、この病気は、「1時間に10cmのスピードで筋肉を食い潰す」と言われており、数十時間で全身に菌がまわって命を落とす確率が非常に高いからです。
あっという間に患部の壊死がはじまり、「足や腕をまるまる切断しなければいけない」という事態にも陥る可能性があります。
ケガなどで皮膚に傷がついたあとに、上記のような症状が現れたら、すぐに受診を!
いかがでしたか?
これは決して発展途上国の話ではなく、日本で起きている病気です。そして、誰にでも発症しうるのです。
小さい子であれば、ケガをすることはよくありますよね。
だからといって、”ケガを作らないようにする”のではなく、”こんな病気もある”ということを知って、万が一に備えてくれたらと思います。
子どもだけではなく、大人にもつきもののケガ。
夏バテや気温の変化で体調を崩すことの多い季節にもなってきましたので、「体調管理」には気を付けて過ごしてくださいね。
Category 専門家コラム 2015.08.28